漢数字の表記の変遷を見る!
前回の記事がいささかセンシティヴな内容であったために、思ったより長くなったのですが、今回の記事からは本題部分、サクサクっと進めてまいります・・・・・・と、思っています。
で、今回は漢数字の“成り立ち”をテーマにします。漢数字の甲骨文字を一覧で表したのが下図です。

さらに、「一」から「十」の基本漢数字に絞って、書体の移り変わりを甲骨文、金文、篆文、楷書に分けたものが下記です。

そして、今回ネタにするのは上記に掲げた「一」から「十」までの漢数字で、それぞれの漢数字の“成り立ち”をまとめてみました。ただ、漢数字の「一」から「十」までの“成り立ち”を全部表示すると長くなりますので、2回の記事に分けます。
漢数字のルーツ!―漢数字の「一」から「五」の成り立ちを調べる!!
今回の記事には、「一」から「五」までの漢数字の“成り立ち”を以下にまとめました。ここには、現在売れ筋となっている漢和辞典と字典に書かれている、“成り立ち”の説明を引用させていただきました。
- 【一】イチ
《白川先生の『常用字解』=以下、白川説》:[指事文字]、「数を数えるときに使う“算木(サンギ)”という木の一本を横さまにおいた形」、
《『漢字海』に載っている『説文解字』の解釈=以下、漢字海》:[指事文字]、「ものごとの始めの大始(おおもと)である。道は「一」に起こり、二分して天地を創出し、さらに万物を生成する」、
《『漢字源』=以下、漢字源》:[指事文字]、「一本の横線で、ひとつを示す」、
《『漢語林』=以下、漢語林》:[指事文字]、「横の一線で、数のひとつの意味」。- 【二】ニ
《白川説》:[指事文字]、「数を数えるときに使う“算木”という木を二本重ねた形。算木二本で“ふたつ”の意味」、
《漢字海》:[指事文字]、「〔易において〕地の数である。並んだ“一”から構成される」、
《漢字源》:[指事文字]、「二本の横線を並べたさまを示すもので、二つの意を示す」、
《漢語林》:[指事文字]、「二本の横線で、数の二つの意味を表す」。- 【三】サン
《白川説》:[指事文字]、「数を数えるときに使う“算木”という木を三本重ねた形」、
《漢字海》:[指事文字]、「天・地・人の道である。三才(天・地・人)の数から構成される」、
《漢字源》:[指事文字]、「三本の横線で三を示す。」、
《漢語林》:[指事文字]、「三本の横線で、数のみっつの意味を表す」。- 【四】シ
《白川説》:[仮借文字]、「甲骨文字は数を数える用具の算木を四本重ねた形で、その字は指事であるが、のち四の字形を用いるようになった」、「算木を重ねる線が不正確なことがあるので、音による表示に変えたのであろう。四は部首が“口”、つくりが“四”からなる“シ”という字の、音符の“四”をとったもので、口を開いて笑う形。その音を借りて用いる」、
《漢字海》:[指事文字]、「〔易における〕陰の数である。四方に分け(=八)た形に象(かたど)る」、
《漢字源》:[会意文字]、「古くは一線四本で示したが、のち四と書く。四は“口”+“八印(分かれる)”で、口から出た息が、ばらばらに分かれることをあらわす」。
《漢語林》:[指事文字]、「甲骨文・金文は四本の横線で、数のよつ(よっつ)の意味を表す。篆文は(部首が“口”、つくりが“四”からなる)“シ”という字の原字。四は口の中に歯・舌の見える形にかたどり、いき(息)の意味を表すが、これを借りて、よつ(よっつ)の意味に用いる」。- 【五】ゴ
《白川説》:[仮借文字]、「木を斜めに交叉(コウサ)させて作った器物の二重の蓋(フタ)の形。これを数字の五に用いるのは、その音だけを借りる仮借の用法である。一から四までの数字の字は、細長い算木を一・二・三とそれぞれの数だけ並べた形である」、「(甲骨文から篆文の五は)二重になった大きな木の蓋の形で、これを神への祈りの文である祝詞(ノリト)を入れる器である“さい”の上に置いた形の字が吾である」、
《漢字海》:[指事文字]、「五行である二(=天地)から構成され、陰陽が天地の間において交わるのである」、
《漢字源》:[指事文字]、「×は交差をあらわすしるし。五は“上下二線」”+“×”で、二線が交差することを示す。片手の指で“十”を数えるとき、(指を折り曲げながら)“→”の方向に数えて五の数で、(六からは)“←”の方向にもどる。“→”(と)“←”の交差点にあたる数を示す」、
《漢語林》:[指事文字]、「“二”は天地、“×”は交差を示し、天地間に相互に作用する五つの元素(木・火・土・金・水)の意味から、数のいつつの意味を表す」。
【参考】上記で“算木(さんぎ)”という言葉が出てきましたので、参考のために“算木”の画像を添えておきます。

これは、易で使用する“算木”です。
さて、上記にまとめた“成り立ち”の解説を比較していただくと、「一」から「三」までは大きな違いは無いものの、「四」と「五」には違いがあります。そして、「六」以降の“成り立ち”の解説には、更なる広がり(?)が生じます。
少し肩の凝る内容ですが、最後までお読みいただくと、どの解説が正しいのか?・・・・・・それが解かるように仕掛けを施しております。
安直なストーリーのサスペンスよりも、格段に面白くてためになる、驚きの展開をご用意いたしておりますので、腰を据えてお付き合い下さいますよう、よろしくお願い申し上げます。
漢数字の「六」から「十」までの“成り立ち”については、次回の記事にアップします。
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