音読み:オツ・オチ・イツ
訓読み:おと・きのと
《人名例》いつ・お・おと・き・きのと・くに・くま・たか・つぎ・つぐ・と・とどむ・めり。
《分類》象形文字・指示文字
【解字】「乙」という字は、『説文解字』に「春に草木の婉曲(エンキョク)して出(いず)るを象(かたど)る」と書かれており、種子から新芽が芽吹いた発芽の状態を形容したものです。「支え曲がって止まること(『漢字源』)」と解説している辞書もありますが、実際には使え曲がって止まる状況を打ち破って伸びようとする意味と解釈するのが適切でしょう。
また、白川静先生の『常用字解』では、「獣の骨の形」と解説されていますが、獣骨を象(かたど)った漢字は他にもあり、原義とは異なるように思われます。
◆乙は数の“二つ”を意味するものです。中国では、純粋に数字を表す「一・二・三・四・五・六・七・八・九・十」以外に、状態の循環を表すものとして、「十干(甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸)」や「十二支(子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥)」が使われています。ちなみに、物事の優劣を意味する熟語に「甲乙(コウオツ)」というがありますが、これは数字一と二を甲と乙に置き換えたものであり、乙が劣っているということではありません。
◆乙を用いた言葉に、少女とか未婚の女性を意味する「乙女(おとめ)」という和製熟語があります。これは既婚の成熟した女性よりも劣った女性という意味ではなく、成長過程の初々しさを備えた女性を意味しているのであり、和製熟語としては乙という字の字義を見事に解釈した熟語だと思います。
◆このように、乙という漢字は「一」と同様に、もしくはそれ以上に強いエネルギーを持ちますので、名前漢字としては使い方が難しい名前漢字です。その反面、姓(名字・苗字)や生まれ持った生命エネルギーとの調和ができれば、素晴らしい効果を発揮するでしょう。
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